さよの巣

おたくの駄文

「COCOON 星ひとつ」感想


TRUMPシリーズ10周年記念作品 COCOON 星ひとつ

繭星。感想。※こっちもすげえ長いです。

ネタバレ!!

 

 

 

 


始まったらほぼTRUMP再演なことに驚いた。
DVD観ました。最後方の席で観劇したからDVDはやっぱり表情よく見えて良い! オペラグラスはソフィ中心に覗いてたから色々見逃してました。初めて見た気分です。やっぱり最後泣いてしまう。劇場で見たときはラスト号泣してしまったから(前方の人ごめんなさい)途中の記憶がふっとんでいた。

繭星の情報は出演者以外知らずに行ったので、始まったらほぼTRUMP再演なことに驚いた。でもウル=ダンピールも、アレン=猫も分かった状態で、ちょっとずつシーンやセリフが追加されてる。目の前でどんどん進んで行く時間+新情報に脳内処理が追い付かないし、ラストは分かり切ってるだけに進まないで!って願っていた。それよりまず冒頭、グランギニョルラストそのままの赤子を抱くダリを目にしたときにもう泣きそうになったし、美しさで目が眩んだ。

 


ダリちゃん

前もって諸々分かっていたのに、何ひとつ防げてない。「もう誰も失いたくない」って言ってるのに。ダリの叫び声が苦しい。キャスパレのダリのパート、グランギニョルのキャスパレ再現ですよね、過去を見ているダリちゃん…。それに、ラファエロがファイヤーされるシーンもグランギニョルのキャスパレ曲が流れる。チャプタータイトルは「悲劇の回旋」。ダリ視点ですね…。う…つらい…
でもクラウスにひざまずくしかないダリを見たら、TRUMPには特級貴族だろうが何だろうが手出しできないというのを突き付けられます。それはしょうがないとしても…なぜせめてラファエロに愛してるって言わなかったかなぁ。「俺を殴れ」じゃないよ、もう。不器用過ぎなんだよ。フリーダ様にも言わなかったもんね、フリーダ様はそれでも「私も、愛してるわ」って言ったけどさ、子供は言わないと分からないから!
と、ダリちゃんへの不満はこの辺にしておきます。でもダリちゃん大好きなんだよ。
ダリちゃんと椅子人のシーンむっちゃ楽しかった。「ダリちゃ~ん」コールできて嬉しかった。染様お戯れタイム♪

 

 

ウル

悩めるウル。宮崎さん、エミールとまったく違ってすごい。
ダンピールだということを隠して生きなきゃいけないウルの苦悩。そして死に怯えて生きろというマルコの呪い。ディエゴの苦悩と似てるんですよね。ウルが自分の出生について知らずにいたのだけは良かったのではと思ってしまった。知ってたらもうウルは耐えれないよ。
自分がダンピールだと告白してしまったあとの場面、クランフェスト中もウルはずっと繭期が酷い。なぜその状態で剣術試合を勝ち上がれた?むっちゃ強いね。

ウルの周りの陰影たちはウルと距離が近いし密集している。地下書庫での、陰影さんたちに本を積み上げられるシーンとか面白いけど、それだけに彼の繭期の深さを思い知らされる。ソフィが側にくると、陰影たちは離れて行ったり少なくなったりする。だからウルはソフィの側が居心地良かったのかも。ソフィには陰影見えてる? ソフィの繭期は軽そう。ソフィは繭期発言もしないし、感情もフラット。ウルが、ダンピールである自分と仲良くしようとするから戸惑ってるけど、それ以外の感情の揺れはない。ソフィのヴァンプの血ってだいぶ薄まっているんだよね。そもそもソフィは本当に繭期になっていたんだろうか(養護院はダミアンコピーが牛耳ってたので)と疑ってしまった。

それにしても、繭星のソフィウルは楽しそうだな! ウルとソフィが笑顔で剣の稽古したりモブ生徒たちと一緒のシーンで2人でなにやら話してるの、ほんとに可愛くて。ウルの「ソフィ大好き」をいっぱい感じられた。ソフィもウルに「吸血種に上も下もない」って言われたら一瞬ふにゃっとしちゃうんですよ。なにあれ可愛い。ソフィのビジュアルもいままでになく可愛いんですよー。おかっぱ!先っちょはねてるのもかわいい。ソフィは、体調よくないウルのこととっても心配する。ソフィをくんくんする変態教師をウルが睨んで、ソフィをそっと自分の後ろにやるとこも好き。基本的にスキンシップが多め。今までのソフィウルはこんなに仲良しじゃなかった気がする。
ソフィ「今は忙しい…」って言ったのに結局地下書庫に一緒にいるとこも好き。ツンデレか。

 

 

ラファエロ

荒木さんのラファエロ、本当にいいな。DVDで表情見てさらに好きになりました。TRUMPのラファエロってポーカーフェイスといいますか、あまり表情が表にでないキャラだと思っていたのですが、星ラファエロはお父様に「期待してる」って言われたらちょっと嬉しそうだし、厳しいことを言われたら傷ついた顔をするし、ウルに「兄さんの顔見たくない」って言われたらしょうがないなって顔だし、「もっと生きたい」って言うウルを引っ張っていくときは痛ましそうな顔をするし、「兄さんはがんじがらめ」って言われたら悲しそうな顔をするし、すぐ顔に出る。アンジェリコに対しては無の表情(悲しい…)。

劇場で観たときは、表情は見えなかったので動きなどは今までみたTRUMPのラファエロで、「月の翳り」とは全然違ってて急に大人になって(14歳→17歳)、違う役みたいだと思ったんですが。表情が見えるとこれは「繭月を経たラファエロ像」だなぁと思った。荒木さんの繊細なお芝居。

「我は守護者なり」も抑えめのトーンで言う。自分に言い聞かせるように。星ラファエロはデリコ家の名誉のために動いているというより、家族のことを思っているように感じた。表面的にはデリコ家のために動いているのと同じなんですけど、ニュアンスがちょっと違う。
何回でも見たいラファエロだなぁと思います。

それとラファエロの殺陣がむちゃくちゃかっこいい。月では殴る蹴るメインだったから、ひゃーかっこいい!ってなりました。剣さばきが鋭くて、ばっさばっさと力みなく倒していく。高潔なる貴公子でした。
ウルの殺陣もかっこよかったです。むっちゃ飛ぶ。君は本当に体が弱かったのか。
ソフィの殺陣は、足さばきがなめらかで体柔らかいんだなーと。衣装も一緒にくるっくるする。きれい。

 

 

アンジェリコ

アンジェリコのお友達事件からクランフェストの間ってどれくらいなんだろう。「あんなことしたのにお咎めなしだってよ」という噂話パートが挿入されていたので、今まで考えもしなかったことが気になったのですが、ウルがダンピールだとバレてるはずなのに生徒に広まってないよね? アンジェリコが咬んだ生徒全員が聞いてたのに。大人の貴族も誰も知らない風。ちょっと気になった。それにしても、偉大なお父様に多額の賠償金を払わせることになってしまったアンジェリコのメンタルはボロボロになっていそうですね…

ディエゴ=ダンピールを知っているのは、星ではアンジェリコとジョルモロだけ? アンジェリコが「ダンピールに負けるラファエロ」にこだわるのは、繭月の事件が尾を引いてるんだろうか。
アンジェリコの手袋が左右違うデザインなの、確認しました。ジョルモロ!!

チャプタータイトル「マルコの血脈」重すぎ…。アンジェリコがウルを後ろから刺したシーン。TRUMPシリーズ、登場人物たちは知らなくて、視聴者だけが知ってる情報が多いのがややこしいんですがこれは最たる物。

 

 

クラウス

クラウスとアレンのシーン、Eternal Dance が流れるのエモい。星だけでクラウスの苦悩を読み取るのはなかなか難しいかな。全体的に初見さん向けではない。

クラウスは「いい匂いがしますねぇ」とか言ってる時から、アレンの血族だと分かっていて、最初から永遠の命を与えるつもりだったのか~。ダリちゃん打つ手がない。というか「おまえがソフィ・アンダーソンをどうしようとかまわん」って言ってるね。息子の同級生という以外に接点ないからダリにはどうでもいいよな…。犠牲でも何でもいいわけかー。(ソフィかわいそす…)ダリがウルにソフィと付き合うなって言ったのも、クラウスとソフィの間に起こるなんらかの事件に巻き込まれないようにっていう気持ちがあったんか。でも言い方!! 前から思ってたんだけど、ウルとソフィを引き離そうとするとき「穢らわしいダンピール」って言うの、ウルには逆効果でしかないよね? ウルは自分のこと言われてるような気分になるじゃん。父兄デリカシーがない。

 

 

萬里

萬里が「志願してやってきたハンター」という新事実。繭のDVDが来る前に再演SPECTERのDVDを視聴したので、キャスパレの萬里の周りにいる仮面と衣装にぞくっとした。ネブラ村の過去を背負って、萬里はクランに来たんだな。14年後のノームおじさんのはずなんだけど、いい意味で14年後とは思えない、ちょっと前までネブラ村にいました感がある。「姉さんに似ている」そうだよねぇ、重ねちゃうよね。「世話の焼けるクソガキ」発言も。先代萬里さんのセリフを継承しちゃうの100点です。そして、ウルに謎のマウントを取る(任務中に私情はいかんよ萬里さん)。100年前の事件のことはすぐしゃべるのに、自分が名付け親なんだよとか姉さんはソフィを愛してたよとか重要なことは喋らないで逝ってしまったなと思った。

萬里もすごく殺陣がかっこいいです。ソフィをむっちゃ守ってくれる。そして顔がいい。ヒーローだ! ソフィの手を引っ張ってぐるんって回すとこ最高。
ソフィがウルに「君は…友達だ」と言ったあと、そこの萬里の表情が良い。

 

 

ラスト

ラストの追加シーンが怒涛の号泣ポイントでした。
ウル視点のTRUMPだから、ダリがウルの遺体を確認するシーンで終わるんです。このシーンにその音楽流します? 愛という名の呪い。泣くやん…。
レイン中級議員が「ウル様のお体には焼けた跡がありませんでした。誰かが覆いかぶさっていたように」って。泣くやん…。
ダリがソフィを全肯定してくれる。泣くやん…。
ダリが「ウルはよく頑張った。おまえの死は希望なんだ」って言ってくれる。泣くやん…。
最初も最後も、ダリの腕の中にいるウル。舞う赤い花びら。ウルの横顔が美しい。泣くやん…。

そっか、ダリは唯一ソフィの理解者だったのか…。ブラド機関はソフィもクラウスも捜索しただろうな、でも見つからなかったんやろな。ソフィはダリの思いなんて全然しらないんだろな。というか、ダリちゃんはやっぱり何もかも言うのが遅いのでは。生きてるウルに「お前は希望だ」って言葉を言ってほしかったのに。死んだ後に言っても残された者の感傷でしかない。でも泣いちゃう…。

 


カーテンコール。

私が見たのは大千秋楽だったんですけど(特典に収録)、何度目かのカテコでソフィウルが手をつないで出てくる。ウルがニコニコしてる。帰りも手をつないではけていく。泣くやん…。
このとき、三津谷ソフィの隣にいるウルはいつも違うウルだな。これからソフィの長い長い旅が始まるんだなって思ってまた泣いた。三津谷ソフィと宮崎ウル、むちゃくちゃ親友だった。見れてよかった。素敵なソフィウルでした。

fusetter(2019/12/12)より転記